eスポーツって何?オリンピック種目になる可能性もあるって本当?
近年、「eスポーツ」という言葉をよく耳にするようになりました。
テレビやインターネットで大会の様子が放送されたり、プロゲーマーが注目を集めたりと、その存在感は年々大きくなっています。
しかし、「eスポーツって結局何なの?」「ただのゲームじゃないの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、eスポーツは単なる趣味のゲームプレイとは異なり、戦略性や技術力が問われる本格的な競技として世界中で認められつつあります。
さらに、2028年のロサンゼルスオリンピックでの正式種目化も検討されているほどです。
この記事では、eスポーツの基本的な概要から、その魅力、さらには今後の展望まで解説していきます。
eスポーツとは
eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使用した競技スポーツの総称です。
日本では2000年頃から「eスポーツ」という言葉が使われ始め、格闘ゲームやFPSなどの対戦ゲームを楽しむプレイヤーたちの間で広まっていきました。
その後、競技としての認知度は着実に高まり、今では新しいスポーツ文化として注目を集めています。
特に2010年頃には、eスポーツ界に大きな転換期が訪れます。
オンラインストリーミングサービスの普及により、それまで「プレイヤー同士で楽しむもの」という認識が強かったeスポーツが、徐々に「観る」スポーツへと進化していったのです。
プロの選手が競技を行い、ファンがその試合を観戦して楽しむというスタイルが定着し始めた時期でもありました。
現在では「プレイはしないけれど、観戦は楽しむ」という新しいファン層も増えており、エンターテインメントとしての魅力も高まっています。
さらに、大規模なeスポーツイベントでは、会場でのグッズ販売や飲食など、地域経済への波及効果も生まれています。
このように、eスポーツは競技スポーツとしてだけでなく、新しい文化・産業としても、着実に発展を続けているのです。
eスポーツの主な種目
eスポーツには、様々なジャンルの競技があります。しかし、すべてのゲームがeスポーツとして認められるわけではありません。
日本のeスポーツを統括する一般社団法人「日本eスポーツ連合(JeSU)」は、以下の4つの条件を満たすものをeスポーツとして公認しています。
・ゲーム内容に競技性が含まれること
・ゲームとして3か月以上の運営・販売実績があること
・今後もeスポーツとして大会を運営する予定があること
・eスポーツとしての大会の興行性が認められること
競技性の観点から、運要素よりもプレイヤー自身のスキルが活かされるゲーム性であることも重要なポイントとなっています。
それでは、代表的なeスポーツの種目を見ていきましょう。
FPS
First Person Shooter(一人称視点シューティング)の略称で、プレイヤーは主観視点で戦場を駆け巡ります。瞬時の判断力と正確な射撃技術が求められ、臨場感抜群の競技です。
MOBA
複数のプレイヤーが2チームに分かれて競い合う「マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(Multiplayer Online Battle Arena)」の略称です。
リアルタイムで情勢を判断しながら、チームで協力して敵陣地を攻略します。戦略的思考とチームワークが重要です。
スポーツ・レース
実際のスポーツやレースを再現したゲームです。実在の選手やマシンの特徴を理解することが勝利への鍵となります。
格闘ゲーム
1対1の対戦で、相手の動きを読み、瞬時の反応で攻防を繰り広げるゲームです。強力なコンボ技の習得や相手の心理を読む力、素早い反射神経が求められます。
TPS
Third Person Shooter(三人称視点シューティング)の略称で、キャラクターを後ろから見る視点で操作します。
自分のキャラクターを操作しながら、広い視野でのチーム戦略が重要になります。
RTS
Real Time Strategyの略称で、プレイヤー同士がリアルタイムで部隊を指揮し、作戦を練りながら競い合う戦略型のゲームです。
MOBAはプレイヤーがそれぞれ自分のキャラクターのみを操作してチームで攻略を目指すのに対し、RTSは1人のプレイヤーが複数キャラクターを操作して攻略する点が異なります。
状況判断力と素早い決断が求められます。
DCG
DCG(デジタルカードゲーム)とは、PCやスマートフォンなどのデバイスを利用して、デジタル環境でプレイするカードゲームです。
戦略的なデッキ構築と的確な判断力が勝負を分けます。
その他にもリズムゲームやパズルゲームなど、独自の競技性を持つジャンルも存在します。
eスポーツの市場規模
2022年の国内eスポーツ市場は、前年比127%の125億円を突破しました。
この成長は、コロナ禍でのオンライン開催の定着と、その後増加したオフライン開催との相乗効果によるものです。
市場は今後も拡大を続け、2025年に向けて年平均20%を超える成長率が予測されています。
eスポーツ市場の主な収益源は以下の通りです。
■スポンサーシップ:大手企業からの広告費や投資
■イベント運営:オフライン大会やイベントでの収益
■メディア放映権:テレビやオンライン中継の権利料
■アイテム課金や賞金
■ストリーミング
■チケット販売
■グッズ販売
特にスポンサーシップとイベント運営が市場の大きな割合を占めています。
「日本eスポーツ白書2023」によると、2022年の国内eスポーツ市場の約7割をこの2つが占めました。
特にイベント運営は、オンライン・オフライン両方の開催に対応できる専門的なノウハウを持つ事業者が大きな市場を形成しており、今後もB to B領域で安定的な成長が期待されています。
eスポーツの競技人口
日本のeスポーツの競技人口は約400万人と推定されており、現在も増加を続けています。
また、2024年時点でJeSUのプロライセンスを保有するプレイヤーは334名です。
しかし、これらの数字は世界的に見ればまだ少ないと言えます。
その背景には、いくつかの日本特有の課題があります。
まず、日本では長らくゲームを「娯楽」としてのみ捉える傾向が強く、競技スポーツとしての認識が浸透していませんでした。
また、プロゲーマーというキャリアパスへの社会的理解も十分とは言えず、若い世代が職業として選択することへの不安や懸念も存在します。
一方で、eスポーツファン(試合観戦や動画視聴の経験者)は着実に増加しており、2022年時点で776万人に達しています。
2025年には1,000万人を超えるとも予測されており、競技への関心は確実に高まっています。
この変化に伴い、プロ選手を目指す若者も徐々に増加することが期待されています。
まとめ ~ eスポーツは今後どうなる?~
eスポーツはもはや単なるトレンドにとどまらず、確立された競技スポーツとして着実に成長を続けています。
最近は大会やイベントも増えており、プレイヤーとしてのみではなく、観戦者としてもeスポーツを楽しむ機会がたくさん用意されています。
2028年のロサンゼルスオリンピックでの正式種目化の可能性も含め、eスポーツは今後さらなる発展が期待される分野といえるでしょう。
eスポーツに興味はあるけれど、始めるきっかけがなかったという方も、ぜひこの機会にeスポーツの世界に飛び込んでみませんか?