
身近な例を交えつつ、売れる仕掛けを徹底解説
インターネット広告をはじめ、テレビや雑誌、ラジオCMなどの従来型のメディア広告、街の看板広告や電飾、電車内の広告、各種チラシや商品そのもののパッケージに至るまで、ありとあらゆる商品やサービスには売るための仕掛けが施されています。
この記事では、普段の生活で知らず知らずのうちに接触している売るための仕掛けについて、事例を交えて解説していきます。
返報性の法則を応用
スーパーやデパートの食品売り場でよく見かける試食販売。
実際に目の前で調理したアツアツの加工食品やデザートをその場で振る舞うプロモーションですが、おいしそうなビジュアルと焼きたての香りにつられてひとくち口にすれば、心の奥底では「試食したからには買わないと悪い」と思ってしまうものです。
このように、他人から受けた施しに対して、自分も何かしてあげなければと思う心理を「返報性の法則」と言います。
数百円程度のバレンタインデーの義理チョコであっても、1か月後のホワイトデーにお返しを返さないとなにか気持ち悪いと感じるのもそうですし、冠婚葬祭に際してお祝いやお悔みの金品に対してお返しをするのも、マナーや礼儀といった側面はありますが、返報性の法則と無関係ではありません。
返報性の法則をWEBマーケティングに当てはめて考えてみましょう。
サプリメントや化粧品をはじめ、多くの通信販売の商品で無料おためしとか、はじめての方限定980円!などといったキャンペーンを実施しています。
これは無料、もしくは本商品よりもかなりお安い価格で商品を提供する代わりに、興味関心のある顧客の情報を収集したいという理由もありますが、まずは販売者側から商品を差し出す施しをすることで、ユーザーに無意識的にタダ、もしくはタダ同然の価格で「こんなにしてもらって悪いなあ」という感情を植え付けることも狙っています。
暗示の強化で購買意欲を刺激
日本では露骨にライバル会社を貶めるような広告は見かけませんが、アメリカでは過激な比較広告は珍しくありません。
ぺプシコーラの広告ではコカ・コーラを踏み台にして子供が自動販売機にお金を入れてペプシを買うCMや、UFOがコカ・コーラとペプシコーラを一度に吸い上げた後に、コカ・コーラだけ吐き出して飛び去るといった広告がありました。
日本では実名は伏せて「A社」「S社」などと表記するのがせいぜいですが、比較広告はユーザーの目を引く効果も高く、販売戦略上の効果があることは事実です。
食肉や海産物の産地偽装問題や加工食品の賞味期限偽装問題など、ライバル他社の不祥事を逆手にとった広告で自社の信頼性アップを狙う事もあります。
人間は誰しも多かれ少なかれ他人と比較して自分はどうかというものを気にしているものです。
これを利用した広告としては、例えば学習塾の広告があります。
「この夏、差をつける夏期講習」
これなど受験生のライバルとの競争心を刺激するキャッチコピーの典型例です。
ダイエット関連商品やサービスであれば、
「同窓会.。さあどうする?驚異の30日間ダイエット」
これなど暗黙の強化の最たる広告事例でしょう。
「同窓会」「ダイエット」
この組み合わせはダイエットを意識せざるを得なくなる強烈なイメージを植え付けるはずです。
次に、よく見かけるこの表記はいかがでしょうか。
「類似商品にご注意ください」
「模倣品にご注意ください」
この注意書きがあることで、本家本元であることをアピールしつつも、業界内で話題を集めている商品であることを暗示しています。
ネットの世界に限りませんが、新しい商品やサービスは話題となることも多く、必ず追随してくる企業があるものですが、これは同時に認知度アップにつながることでもあり、必ずしもデメリットとは言えません。
他社の追随をデメリットととらえるのではなく、逆手にとって「類似品にご注意ください」と表記することで自社商品やサービスの優位性をアピールすることもできるのです。
希少性アピールで購買意欲を刺激
観光地の土産物店でよく見かける地域限定の商品。
例えば、山形県限定の芋煮風のカップ麺や、宮城県限定のずんだ餅の風味をイメージしたチョコレート菓子など、大手食品メーカーが製造する定番商品をその地域の特産品や名物料理と掛け合わせ、地域限定とすることで、従来のありきたりな土産物にはない魅力で売上アップにつなげる戦略です。
こうした地域限定商品が売れる理由を考えてみましょう。
それはまさに「地域限定」であるからです。
地域限定商品にユーザーが魅力を感じるのは、基本的にその地域に行かなければ買えない商品だからであり、こうした限定品が購買意欲を刺激することを「希少性の原理」と言います。
「限定」は地域だけに限らず、数量限定、期間限定、対象者限定など様々な面で演出できます。
最近では数量限定や期間限定などそれぞれ単独の限定アピールではインパクトが弱くなっていることもあり、期間限定と対象者限定のクロス戦略も見かけます。
例えば、楽天やアマゾンといった大手ECサイトで、クーポン戦略に加えて、クーポンに使用期限を設けて、ユーザーに購入の決断を後回しにさせないといった事例があります。
購入する決断はできているが、どこで買うか迷っているユーザーを逃がさない、迷わせない戦略です。
まとめ
パソコンからスマホへのシフト、テキストから動画へのシフト、生成AIの登場と、Webマーケティング界隈はまさに日進月歩ですが、どんなに進化しようとも変わらないのは、インターネットを利用しているのは生身の人間であることです。
生身の人間を相手にするからこそ、Webマーケティングの真の成功には、人間心理を意識した戦略が必要です。
私たちが生きている時代のはるか昔の先人の知恵の結集とも言える心理学は、そう簡単に廃れるものではないでしょうし、心理学をWebマーケティングの戦略の土台に加えることで、時代の変化に上手に乗り続けることができるはずです。