改めて確認。そもそもSDGsとは?みんなどんな事をしているの?
最近、企業の取り組みでよく目にするようになったSDGs。
社会全体で向き合わなければならない課題だとは知っているけれど、
「具体的になにをすればいいのかわからない」
「そもそもSDGsって何?」
と、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、今さら聞けないSDGsの基本的な知識や、実際に個人や企業で行っているSDGsの取り組みの事例について解説します。
これから企業でSDGsに取り組む際の手順やポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
SDGsとは
SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、「誰一人取り残さない」という理念のもと、2030年までに世界が達成すべき17の目標をまとめたものです。
2015年に国連で採択され、すべての加盟国で取り組むことが約束されました。
SDGsが掲げる17の主要目標には「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」といった人類の基本的な課題から、「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」といった社会的な目標、さらには「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」といった環境問題まで、私たちの暮らしに関わるあらゆる課題が含まれています。
個人でのSDGsの取り組み
SDGsは、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりが日常生活で実践できる身近な目標でもあります。個人でできるSDGsの取り組みについて、5つご紹介します。
1.省エネルギーの実践
私たちの日常生活の中で、ちょっとした心がけで実践できる取り組みが省エネルギーです。
たとえば、使っていない電化製品のプラグを抜く習慣をつけることで、待機電力を削減できます。また、従来の電球からLEDへ切り替えれば、電球の寿命が長くなるだけでなく、電力消費を大幅に抑えることができるでしょう。
他にも「エアコンの設定温度を適正に保つ」「省エネ家電を採用する」といった行動も、誰でもすぐに始められる取り組みです。
これらの行動は、具体的にSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や、目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献します。
2.食品ロスの削減
日本では年間約522万トンの食品が無駄に捨てられていると言われています。
これを減らすために、私たちができることは意外と簡単です。具体的には買い物前に冷蔵庫をチェックし、必要な分だけを購入する習慣を身に着けることです。
また、料理は食べきれる量だけ作り、残った食材は冷凍保存や別料理へアレンジをすることで無駄なく使い切ることができます。
食品ロスを減らすことは、世界の食糧問題解決につながり、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の貢献になります。
また、限りある資源を無駄なく有効活用する試みは、目標12「つくる責任つかう責任」にも関連します。
3.水の節約
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人が安全に管理された清潔な水や衛生的なトイレを持続的に利用できることを目指したものです。
世界にはトイレがなく、道ばたや草むらなど屋外で用を足している人が約4億1,900万人いると言われています。
さらに、水道の設備がない場所で暮らす人は22億人以上にものぼります。
日頃の生活において節水の意識を持つなど一人ひとりの行動の積み重ねが、世界の水不足問題の解決に向けた大きな一歩となります。
4.持続可能な消費
環境に配慮した製品を選ぶことも、個人でできるSDGsの取り組みのひとつです。
まずは環境認証マークの付いた製品や、過剰包装を避けた商品を選ぶことから始めましょう。
使い捨てのプラスチック製品を、マイバッグやマイボトルといった再利用可能な製品に切り替えることも重要です。
また、地元産の食材を選ぶことで、輸送にかかるエネルギーを削減でき、地域経済の活性化にも貢献できます。賢い消費者になることが、持続可能な社会への近道なのです。
5.継続的な学習と啓発
持続可能な社会の実現には、一人ひとりの意識と行動が鍵となります。したがってSDGsについて学び、その知識を家族や友人と共有することもSDGsの取り組みと言えるでしょう。
地域の清掃活動やフードバンクなどのボランティアに参加することで、実践的な理解も深まります。さらに、SNSを活用して環境保護や社会貢献の情報を発信することで、より多くの人々の意識向上にもつなげられるでしょう。
企業のSDGsの取り組み
SDGsの実現には、個人の取り組みだけでなく、企業の積極的な参加が不可欠です。
実際に、多くの企業が創意工夫を凝らしながら、持続可能な社会の実現に向けて様々な取り組みを展開しています。
ここでは、代表的な5つの取り組み事例を紹介します。
1.再生可能エネルギーの導入と省エネルギーの推進
多くの事業所や工場では、太陽光パネルの設置、風力発電の活用により、環境負荷の少ないクリーンエネルギーへの転換を進めています。
また、LED照明の導入や製造設備の効率化により、エネルギー使用量の削減にも取り組んでいます。
これらは、脱炭素社会(CO2排出量ゼロを目指す社会)の実現に向けた重要な施策となるでしょう。
2.ダイバーシティ(多様性)経営の推進
ダイバーシティとは、日本語で「多様性」を指す言葉です。
多様性を受け入れた働きやすい社会の実現もSDGsの取り組みのひとつです。
たとえば平成以前の日本企業に多い男性中心の組織形態を見直し、女性管理職の積極登用を目指したり、育児や介護との両立支援制度を充実させ、より働きやすい環境を整えるなどです。
また、障がい者雇用の促進や、外国籍従業員の採用拡大も重要です。
これはSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」の達成にも深く関連しています。
3.製品パッケージの環境配慮設計
近年、処理されなかったプラスチックごみが海に流出し生態系を脅かす海洋プラスチック問題が大きな課題となっています。
企業が製品パッケージを環境に配慮したものに見直すことは、この問題解決の大きな一歩となります。
商品の包装材を植物由来の素材に切り替えたり、プラスチックの使用量を必要最小限に抑えたりする取り組みが増えています。
また、シャンプーや洗剤などの詰替え製品の開発や、使用済み容器の回収・リサイクルシステムの構築も、プラスチックごみを減らす大きな助けとなるでしょう。
こうした取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」や、目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献します。
4.持続可能なサプライチェーンの構築
サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、販売までの一連の流れのことを指します。
グローバル化が進む現代では、企業の責任は自社内だけでなく、取引先を含むサプライチェーン全体に及びます。
特に発展途上国における人権侵害や劣悪な労働環境の改善は、企業が取り組むべき重要な課題となるでしょう。
取引先の製造現場における児童労働や強制労働の排除、適正な賃金の支払い、安全な労働環境の確保などを徹底的に確認・監査する取り組みが増えています。
また、取引先との長期的な関係構築を通じて、現地従業員の技能向上や待遇改善を支援する企業も増えています。
5.社会課題解決型の商品開発
世界の課題解決に貢献する商品やサービスの開発も、企業にできるSDGsの取り組みの一つです。
SDGs目標1「貧困をなくそう」の実現に向けて、安全な水を手軽に確保できる浄水器や、電力供給が不安定な地域でも使える太陽光発電式充電器などの開発が考えられます。
このような製品を適切な価格で提供することができれば、発展途上国の人々の生活水準を大きく向上させることができるでしょう。
SDGsでは、このほかにも多くの社会課題に関する目標が掲げられています。
企業には、これらの課題解決に向けて、自社の持つ技術力を最大限に活用し、革新的なソリューションを生み出していくことが期待されています。
それこそが、企業に求められるSDGsへの取り組みの本質といえるでしょう。
企業がこれからSDGsに取り組む際の手順とポイント
ここまで個人や企業での様々なSDGsの取り組みについてご紹介してきました。
企業がSDGsに取り組むことは、企業のブランドを向上できる、資金調達がしやすくなる、世界的に高評価を得られるといった様々なメリットがあります。
では、実際にSDGsの取り組みをどのように進めればよいのでしょうか。最後に、5つの実践ステップとそのポイントをご紹介します。
STEP1:正しい理解からスタート
SDGsの取り組みで最初に行うべきは、その本質を理解することです。
SDGsは単なる社会貢献活動ではなく、企業の持続的な成長と社会課題の解決を両立させるための世界共通の目標です。
そのためには経営層から現場の社員まで、全社で共通認識を持つことが不可欠です。
社内研修やワークショップを通じて、SDGsが掲げる17の目標について理解を深めていきましょう。
STEP2:自社の優先課題を見極める
SDGsへの理解を深めたら、自社が優先的に取り組むべき課題を特定しましょう。
すべての目標に取り組む必要はありません。
自社の強みを活かせる分野は何か、社会からの期待や要請を把握して、優先課題を見極めることが重要です。
STEP3:具体的な目標設定
取り組むべき課題が見つかったら、次は達成に向けた具体的な目標設定をしましょう。
抽象的な目標では進捗管理も難しくなります。
目標はなるべく数値化できる指標(KPI)を設定し、可能な限り対外的に公表することで、社内の取り組み意識が高まります。
この際、実現可能性の高い現実的な目標と意欲的な目標のバランスを考慮することが肝要です。
STEP4:経営戦略との統合
SDGsは単なる社会貢献活動ではなく、本業を通じた取り組みであるべきです。
そのためには経営トップがSDGsの取り組みに関してコミットメントし、事業戦略の中核に明確に位置づけていくことが求められます。
また、取引先や地域社会とのパートナーシップを構築することで、より大きな成果が期待できるでしょう。
STEP5:進捗管理と情報発信
最後に、定期的な情報開示を通じて、取り組みの成果や課題を共有します。
また、必要に応じて計画の見直しをすることが成功への近道になるでしょう。
これらの取り組みを進める上で重要なのは、社員の理解と協力を得ること、自治体の支援制度を活用すること、そして、自社の規模や実情に合わせた無理のない計画を立てることです。
他社の成功事例を参考にしつつ、自社らしい取り組みを見つけることが、持続的な活動につながります。
まとめ
SDGsは「誰一人取り残さない」という理念のもと、2030年までに世界が達成すべき17の目標です。
SDGsというと、難しそうな印象を受けますが、実際は想像以上に取り組みやすいものです。
個人レベルでは省エネや食品ロスの削減など、すでに実践している環境配慮の取り組みもSDGsの一環です。
そして企業においても、決して特別なことを始める必要はありません。
まずは自社の事業や強みを17の目標に照らし合わせ、業務内容や経営方針から優先して取り組むべき課題を見つけましょう。
社員全体での理解促進からはじめ、できることから一歩ずつ進めていけば、必ず成果は出てきます。
今日から、あなたの会社らしいSDGsの取り組みを考えてみませんか。